くまさんとうさぎさんの秘密
衣装合わせ
by宇佐美 優那
学祭のライブは、保育園でのライブとも違って、ちょっと過激な歌詞内容も多い。ちょっとエロい。今回に関しては、松野さん一人で歌う。
私自身は歌わないし、実は、私はあんまりそういうこと気にしてなかったけど、皆の覚悟というか、構え方を見ていて、だんだん緊張してきた。
集合解散の仕方について、バンドの代表どうしきっちり話し合っていた。
リハーサルの前に、バンドの中でも、当日の手はずについて確認の時間を持った。松野さんに聞かれた。
「宇佐ちゃん、誰か迎えに来る人いるの?」
「高校の友達が来るはずだから、一緒に帰ってもらうことはできます。」
「了解。必ず、必ずさっさと帰るように。宇佐ちゃん、ちょっと隙が多いから心配なんだよね。。」
「???」
「ゲストと打ち上げするんだけど、すっごい柄悪いらしいの。」
軽音全体では、ゲストと飲みにいくメンバーも、決まっていて、誰から、どの順番で逃げるか、最後はどうするかも、全部シナリオ有りだった。
ジャズチームは、真っ先に逃げてよしとのことだった。どんくさい子が多そうという判断なのだ。
「歌が歌だからさ、その気だと思われるよね。私ら、ある意味期待させるためにやってるわけだし。衆人環視でエロくて我慢できないって表現するわけじゃん。歌は歌でしかないんだけどさ。感情移入して聞いちゃうと酔っぱらいみたいになる人もいるから。」
松野さんは、私になにかと教えてくれる。サークルに入ってから、何でも松野さんに聞いてるけど、最近は、他のメンバーのこともちょっとずつ分かってきた。
色っぽいと言えば、ひとみさんも、お客さんとの距離に関しては、すごく上手いんだと思う。逃げ場所が決まっていた。
「断りまくったりとかなっても、お客さんの夢壊しちゃうわけだし、そもそも、誘われずに逃げるが1番。」と、松野さんは舌をぺろっと出した。
松野さんは、気さくな感じで、話しやすい。
でも、本当に松野さんが気さくかというと、本当は、そうでもない。好き嫌いがはっきりしてる。やらないことは、誘われる前にもうやらないと決めてるし、やることは、誘われる前から誘わせると決めているようなところもある。
一曲目は、ピアノの私と、とサックス平林さん、ドラムの戸口さんだけで演奏することに決まっていた。
私は、どっちかというと、ジャズらしい曲が好きだから、一曲目は私にとっては見せ場だと思うし、多分それは、平林さんにとってもそうだ。
平林さんは、上手い。
でも、練習には来ない。
そもそも、ジャズチームと言いながら、入りたい曲だけ入って、入りたくない曲には入らない。
今回の一曲目は平林さんの提案で、ピアノの人に一緒にやってほしいとのことだった。戸口さんが参加する話は後でわいて出た。
「どうして、誘ってくれたんですか?」と、私は、平林さんに聞いた。
「やりたくないの?」と、彼女は質問で返した。
「いえ、やりたいです。多分、学祭の発表の中でも1番好きな曲なのかも。私のピアノの先生も、弾いてました。」
「へえ、ちゃんと習ってるんだ。」
「ジャズピアニストで、あんまり生徒はとらない人なんですけど、すっごい教えるの上手いです。ものすごく上手なのに、相手に気後れさせないというか、一緒に弾いても良いんだよって気持ちにさせてくれる人なんです。良い感じで先生のファンになっちゃうんですよね。」
「ジャズピアニストって感じだね。私は、すっごいなりふり構わない怖い先生にピアノ習ってたから、うまくはなっても、リラックスして演奏するとかリラックスして聞くとか分からないんだよね。私の先生もうまかったよー。すごい迫力ある演奏で、「どうだ、参ったか、頭が高い」ってな感じ」と、平林さんは真顔で言った。
私は、笑った。この人は、時々冗談を言うが、多分、みんな気がついてない。
平林さんの音は、とても伸びやかで、表現も良い。見た目との間にギャップがあり、平林さんは人に見られるのを嫌がる。だから、曲の間、ずっと私の方を見て演奏する。客席におしりが向いている。
彼女は恥ずかしくてやってるのだが、リハーサルの時に、ライブハウスのオーナーが、彼女はそれで良いと言った。1度、試しに正面向いて演奏した時に、彼女の後ろ姿を見たが、理由は分かった気がした。
メリハリボディーの後ろ姿がものすごくきれきだった。オーナーは、「後ろ向いてれば堂々とやれるなら、そのままで良いんじゃないの」と、真顔で、言った。
松野さんが、小さく吹き出した。
オーナーは、松野さんを軽くにらんだ。
「しおりちゃんもさ、どっちから見られたら1番よく見えるか、真面目に研究した方がいいよ。俺はさ、適当に物言ってるんじゃないよ。この子はこれで良いんだよ。」
オーナーさんは、水指すなよと、付け加えた。
「それからさ、ピアノのお姉ちゃん、衣装考えてよ。」
注意されてしまった。返事できない。。
「あんたさ、今日の格好もだめだし、ピアノの発表会みたいのも、だめだよ。めかしこむんじゃなくてさ、ちゃんと舞台にたつ服着てこなきゃ。せっかく可愛い顔してんだからさ。」
まさかのダメ出しをくらってしまった。。
学祭のライブは、保育園でのライブとも違って、ちょっと過激な歌詞内容も多い。ちょっとエロい。今回に関しては、松野さん一人で歌う。
私自身は歌わないし、実は、私はあんまりそういうこと気にしてなかったけど、皆の覚悟というか、構え方を見ていて、だんだん緊張してきた。
集合解散の仕方について、バンドの代表どうしきっちり話し合っていた。
リハーサルの前に、バンドの中でも、当日の手はずについて確認の時間を持った。松野さんに聞かれた。
「宇佐ちゃん、誰か迎えに来る人いるの?」
「高校の友達が来るはずだから、一緒に帰ってもらうことはできます。」
「了解。必ず、必ずさっさと帰るように。宇佐ちゃん、ちょっと隙が多いから心配なんだよね。。」
「???」
「ゲストと打ち上げするんだけど、すっごい柄悪いらしいの。」
軽音全体では、ゲストと飲みにいくメンバーも、決まっていて、誰から、どの順番で逃げるか、最後はどうするかも、全部シナリオ有りだった。
ジャズチームは、真っ先に逃げてよしとのことだった。どんくさい子が多そうという判断なのだ。
「歌が歌だからさ、その気だと思われるよね。私ら、ある意味期待させるためにやってるわけだし。衆人環視でエロくて我慢できないって表現するわけじゃん。歌は歌でしかないんだけどさ。感情移入して聞いちゃうと酔っぱらいみたいになる人もいるから。」
松野さんは、私になにかと教えてくれる。サークルに入ってから、何でも松野さんに聞いてるけど、最近は、他のメンバーのこともちょっとずつ分かってきた。
色っぽいと言えば、ひとみさんも、お客さんとの距離に関しては、すごく上手いんだと思う。逃げ場所が決まっていた。
「断りまくったりとかなっても、お客さんの夢壊しちゃうわけだし、そもそも、誘われずに逃げるが1番。」と、松野さんは舌をぺろっと出した。
松野さんは、気さくな感じで、話しやすい。
でも、本当に松野さんが気さくかというと、本当は、そうでもない。好き嫌いがはっきりしてる。やらないことは、誘われる前にもうやらないと決めてるし、やることは、誘われる前から誘わせると決めているようなところもある。
一曲目は、ピアノの私と、とサックス平林さん、ドラムの戸口さんだけで演奏することに決まっていた。
私は、どっちかというと、ジャズらしい曲が好きだから、一曲目は私にとっては見せ場だと思うし、多分それは、平林さんにとってもそうだ。
平林さんは、上手い。
でも、練習には来ない。
そもそも、ジャズチームと言いながら、入りたい曲だけ入って、入りたくない曲には入らない。
今回の一曲目は平林さんの提案で、ピアノの人に一緒にやってほしいとのことだった。戸口さんが参加する話は後でわいて出た。
「どうして、誘ってくれたんですか?」と、私は、平林さんに聞いた。
「やりたくないの?」と、彼女は質問で返した。
「いえ、やりたいです。多分、学祭の発表の中でも1番好きな曲なのかも。私のピアノの先生も、弾いてました。」
「へえ、ちゃんと習ってるんだ。」
「ジャズピアニストで、あんまり生徒はとらない人なんですけど、すっごい教えるの上手いです。ものすごく上手なのに、相手に気後れさせないというか、一緒に弾いても良いんだよって気持ちにさせてくれる人なんです。良い感じで先生のファンになっちゃうんですよね。」
「ジャズピアニストって感じだね。私は、すっごいなりふり構わない怖い先生にピアノ習ってたから、うまくはなっても、リラックスして演奏するとかリラックスして聞くとか分からないんだよね。私の先生もうまかったよー。すごい迫力ある演奏で、「どうだ、参ったか、頭が高い」ってな感じ」と、平林さんは真顔で言った。
私は、笑った。この人は、時々冗談を言うが、多分、みんな気がついてない。
平林さんの音は、とても伸びやかで、表現も良い。見た目との間にギャップがあり、平林さんは人に見られるのを嫌がる。だから、曲の間、ずっと私の方を見て演奏する。客席におしりが向いている。
彼女は恥ずかしくてやってるのだが、リハーサルの時に、ライブハウスのオーナーが、彼女はそれで良いと言った。1度、試しに正面向いて演奏した時に、彼女の後ろ姿を見たが、理由は分かった気がした。
メリハリボディーの後ろ姿がものすごくきれきだった。オーナーは、「後ろ向いてれば堂々とやれるなら、そのままで良いんじゃないの」と、真顔で、言った。
松野さんが、小さく吹き出した。
オーナーは、松野さんを軽くにらんだ。
「しおりちゃんもさ、どっちから見られたら1番よく見えるか、真面目に研究した方がいいよ。俺はさ、適当に物言ってるんじゃないよ。この子はこれで良いんだよ。」
オーナーさんは、水指すなよと、付け加えた。
「それからさ、ピアノのお姉ちゃん、衣装考えてよ。」
注意されてしまった。返事できない。。
「あんたさ、今日の格好もだめだし、ピアノの発表会みたいのも、だめだよ。めかしこむんじゃなくてさ、ちゃんと舞台にたつ服着てこなきゃ。せっかく可愛い顔してんだからさ。」
まさかのダメ出しをくらってしまった。。