くまさんとうさぎさんの秘密
by 宇佐美優那
日曜日に平林さんと私とりゅうじさんとで、衣装を選びに出かけることになった。
バンド全体に、ある程度の統一感と、ある程度のバラバラ感があった方がいいということで、私と平林さんの衣装を合わせることにしたのだ。
りゅうじさんは、美容専門学校の学生だ。
自分で服も作る。
そう言えば、初めて会ったときから、おしゃれな人だとは思っていた。髪の毛がアシンメトリーで、ちょっと目元が眠そうだが、これは地顔で、眠いわけではない。
キヨシさんも、同じ美容専門学校の学生で、松野さんは、キヨシさんの着せ替え人形みたいなところがあった。松野さんは、、服や小物については、「これ、キヨシが作った」とか、「キヨシにもらった」とか、しょっちゅう言ってる。
りゅうじさんは、「髪型とか化粧とか、当日どうすんの?」と、私たちにきいた。
「どうもこうも、このまんまのつもりだけど」と、平林さんが答える。
「平林さんは、それでいいと思う。髪、本当にキレイだよね。。後ろ姿狙われるでしょ」
平林さんは、日本人形のようなパッツンストレートだけれど、すごく髪が艶々で、確かに、きちんとした印象があった。
「宇佐美さんはさ、元々くせっ毛があるから、ちゃんと巻くかストレートパーマかけるかした方が、あか抜けると思うよ。当日だけなら小手で巻いても良いかも。」
私は、正直に打ち明けることにした。
「お金ないんです。私、高校の時から苦学生なの。うち、兄妹多くて。。」
りゅうじさんの目が泳いだ。
「俺も。。俺もさ、高校の時、ずっと服屋の店員してて、専門学校の学費ためたんだ。そのあと、両親離婚してさ。音楽は、一回諦めたんだよ。他のやつがクラブで音楽やってる間に、俺はバイトな訳よ。。他人が羨ましくて、ひねくれてた時もあったな。。」
りゅうじさんは、どうやら苦労人のようだ。
「俺が宇佐ちゃんにパーマかけていい?練習台に。俺、うまいよ。俺のブログに化粧したとこアップさせてもらって良いなら。」
「うーん。可愛くできたら良いけど、あんまりアーティスティックだと恥ずかしいから嫌かも。」
「そりゃ、恥ずかしくないようにするよ。宇佐ちゃんがやりたくない格好じゃ、パフォーマンスも悪くなるじゃん。俺だって、俺の作品の看板あげる以上、女の子がキラキラしてる写真がほしいよ。」と、りゅうじさんが言った。
私は、りゅうじさんに当日のパーマと化粧とお願いすることにした。
服は、平林さんと私とで、同じミニのワンピースを買った。平林さんは、下に柄タイツと丈の長いグラディエーターサンダルをあわせて、私は、足元までのシフォン生地をスカートに縫い付け、短いサンダルをはくことになった。りゅうじさんが完成させてくれるそうだ、平林さんについては、サイズが若干合わなかったので、一回り大きくかってサイズなおししてくれることになった。
「何から何までありがとう。」と、私はりゅうじさんに言った。
「写真くれるんでしょ。平林さんは、横向きのと後ろ向きのもちょうだいよ。宇佐ちゃんは、足がきれいだから、膝したスカートから出た斜め目線のと、スカートのシルエットこだわりたいから、やっぱり横向きのともらえるかな。」
平林さんも、黙ってうなずいた。
「ネットにあげる前に必ず先に見せてよ。」と、平林さんが言った。
「平林さんは、、嫌がる顔も悪くないけどね。」りゅうじさんが目線を泳がせた。
平林さんがりゅうじさんを睨み付ける。
「いつも嫌そうにしてるから、見慣れてきたってこと。悪かったよ。モデルやってほしいだけ。嫌なことは、絶対しない。」
この日は、買った服をりゅうじさんに預けて、お化粧品を買って帰ることにした。お化粧は、りゅうじさんの友達のドラッグストアで軽く試させてもらった。
お化粧が終わったところで、電話がなった。
「あらら、久しぶりな人だわ。」
くまさんだった。
りゅうじさんは、私の髪の毛をアップにしながら言った。
「いいよ。電話出て。」
くまさん、久しぶりに家に帰るから、宮迫さんと肥後橋君家にお見舞いに行こうという話だった。
電話を切ったら、りゅうじさんが聞いた。
「彼氏さん?」
「高校の同級生。学祭も見に来てくれるって。」
「チケット値切らせちゃだめだよ。俺が手かけるんだから。」
「もう、半額でわたしちゃいました。」
「遅かったかあ、。その分、後でおごらせちゃえよ。何のために女の子がおしゃれすると思ってんの。」
平林さんが、嫌な顔をした。
「りゅうじさん、ライブにお金がいるのも、分かるんだよ。分かるんだけど、生々しすぎてひくわ。この子はこれでいいのよ。現にあんた、今日かなり貢いでるじゃん。」
化粧品は、大部分自分で払ったけど、服やサンダルは、写真の対価だとのことで、お金を受け取ってくれなかった。
「やっぱり、悪いから払います。。」と、私は、リュウジさんを見上げた。
変な間があった。
「ま、本来、他人の人間関係口出しするのは趣味じゃないから。、宇佐ちゃんが、ついつい口出ししたくなるキャラだよね。なるほどな。。」
リュウジさんは、平林さんに言った。
「悪かったよ。」
日曜日に平林さんと私とりゅうじさんとで、衣装を選びに出かけることになった。
バンド全体に、ある程度の統一感と、ある程度のバラバラ感があった方がいいということで、私と平林さんの衣装を合わせることにしたのだ。
りゅうじさんは、美容専門学校の学生だ。
自分で服も作る。
そう言えば、初めて会ったときから、おしゃれな人だとは思っていた。髪の毛がアシンメトリーで、ちょっと目元が眠そうだが、これは地顔で、眠いわけではない。
キヨシさんも、同じ美容専門学校の学生で、松野さんは、キヨシさんの着せ替え人形みたいなところがあった。松野さんは、、服や小物については、「これ、キヨシが作った」とか、「キヨシにもらった」とか、しょっちゅう言ってる。
りゅうじさんは、「髪型とか化粧とか、当日どうすんの?」と、私たちにきいた。
「どうもこうも、このまんまのつもりだけど」と、平林さんが答える。
「平林さんは、それでいいと思う。髪、本当にキレイだよね。。後ろ姿狙われるでしょ」
平林さんは、日本人形のようなパッツンストレートだけれど、すごく髪が艶々で、確かに、きちんとした印象があった。
「宇佐美さんはさ、元々くせっ毛があるから、ちゃんと巻くかストレートパーマかけるかした方が、あか抜けると思うよ。当日だけなら小手で巻いても良いかも。」
私は、正直に打ち明けることにした。
「お金ないんです。私、高校の時から苦学生なの。うち、兄妹多くて。。」
りゅうじさんの目が泳いだ。
「俺も。。俺もさ、高校の時、ずっと服屋の店員してて、専門学校の学費ためたんだ。そのあと、両親離婚してさ。音楽は、一回諦めたんだよ。他のやつがクラブで音楽やってる間に、俺はバイトな訳よ。。他人が羨ましくて、ひねくれてた時もあったな。。」
りゅうじさんは、どうやら苦労人のようだ。
「俺が宇佐ちゃんにパーマかけていい?練習台に。俺、うまいよ。俺のブログに化粧したとこアップさせてもらって良いなら。」
「うーん。可愛くできたら良いけど、あんまりアーティスティックだと恥ずかしいから嫌かも。」
「そりゃ、恥ずかしくないようにするよ。宇佐ちゃんがやりたくない格好じゃ、パフォーマンスも悪くなるじゃん。俺だって、俺の作品の看板あげる以上、女の子がキラキラしてる写真がほしいよ。」と、りゅうじさんが言った。
私は、りゅうじさんに当日のパーマと化粧とお願いすることにした。
服は、平林さんと私とで、同じミニのワンピースを買った。平林さんは、下に柄タイツと丈の長いグラディエーターサンダルをあわせて、私は、足元までのシフォン生地をスカートに縫い付け、短いサンダルをはくことになった。りゅうじさんが完成させてくれるそうだ、平林さんについては、サイズが若干合わなかったので、一回り大きくかってサイズなおししてくれることになった。
「何から何までありがとう。」と、私はりゅうじさんに言った。
「写真くれるんでしょ。平林さんは、横向きのと後ろ向きのもちょうだいよ。宇佐ちゃんは、足がきれいだから、膝したスカートから出た斜め目線のと、スカートのシルエットこだわりたいから、やっぱり横向きのともらえるかな。」
平林さんも、黙ってうなずいた。
「ネットにあげる前に必ず先に見せてよ。」と、平林さんが言った。
「平林さんは、、嫌がる顔も悪くないけどね。」りゅうじさんが目線を泳がせた。
平林さんがりゅうじさんを睨み付ける。
「いつも嫌そうにしてるから、見慣れてきたってこと。悪かったよ。モデルやってほしいだけ。嫌なことは、絶対しない。」
この日は、買った服をりゅうじさんに預けて、お化粧品を買って帰ることにした。お化粧は、りゅうじさんの友達のドラッグストアで軽く試させてもらった。
お化粧が終わったところで、電話がなった。
「あらら、久しぶりな人だわ。」
くまさんだった。
りゅうじさんは、私の髪の毛をアップにしながら言った。
「いいよ。電話出て。」
くまさん、久しぶりに家に帰るから、宮迫さんと肥後橋君家にお見舞いに行こうという話だった。
電話を切ったら、りゅうじさんが聞いた。
「彼氏さん?」
「高校の同級生。学祭も見に来てくれるって。」
「チケット値切らせちゃだめだよ。俺が手かけるんだから。」
「もう、半額でわたしちゃいました。」
「遅かったかあ、。その分、後でおごらせちゃえよ。何のために女の子がおしゃれすると思ってんの。」
平林さんが、嫌な顔をした。
「りゅうじさん、ライブにお金がいるのも、分かるんだよ。分かるんだけど、生々しすぎてひくわ。この子はこれでいいのよ。現にあんた、今日かなり貢いでるじゃん。」
化粧品は、大部分自分で払ったけど、服やサンダルは、写真の対価だとのことで、お金を受け取ってくれなかった。
「やっぱり、悪いから払います。。」と、私は、リュウジさんを見上げた。
変な間があった。
「ま、本来、他人の人間関係口出しするのは趣味じゃないから。、宇佐ちゃんが、ついつい口出ししたくなるキャラだよね。なるほどな。。」
リュウジさんは、平林さんに言った。
「悪かったよ。」