くまさんとうさぎさんの秘密
うさぎさんちの事情
by 宇佐美 優那
半年ぶりに実家に足を向けた。
家の前までやってきて、末の弟の優矢の携帯に電話する。
「姉ちゃん!!」と、すぐにつながった。
「澤谷さん来てるよ。近くに寄ったからって。姉ちゃんも帰ってくんの??」
やっぱり。。向こうは、やることが早い。
「宿題がいっぱいあるから今日は無理だよ。友達んちで宿題することになってんの。」
と、私は言った。こういう時に実家が頼れないのはつらい。
「姉ちゃんのシューアイスとっとこうか?」と、優矢は言った。
「いいよ。置いといても、うちじゃ誰かが食べちゃうでしょ。」
「姉ちゃんと僕の部屋に隠しとく?」
私は、電話のこちら側で笑った。
(とけちゃうじゃん。)優矢は7歳。生まれた時からめちゃめちゃかわいいとは思ってたけど、
末っ子はいつまでたってもかわいい。
「姉ちゃん?」
「???」
「何で電話してきたの??」
「ちょっと優矢の声が聞きたかっただけだよ。」
もうだめだ。また泣けてくる。家に帰りたい。
「また、今度映画見に行こうね。明日また電話していい??」と、私はきいた。
「いいよ」と、優矢が言った。
「こないだ、モンスターのかわいいの見かけたから買っといたよ。何だっけ、、あの、ピカリン」
電話の向こうで、ちょっと沈黙があった。
「優矢はミラファイターの方が好きだな。」
(何じゃそりゃ。)
キャラもんは、毎年変わるから困る。
私が家にいた頃は、優矢の愛を独占していたのは、間違いなくピカリンだった。
お母さんどういう教育してんのよ。こういう時はありがとうだわ。と、心の中でつぶやいた。
かわいくないところもかわいいが、そばにいたら一言たしなめたい。
この子にしても、普通の家で育っていたら、親に内緒で姉ちゃんから呼び出されたりなんかしないのかもしれない。
明日は会いに行こうと思ったけど、それは内緒にした。
優矢の内緒は10分しか持たないから。明日までだと澤谷さんにばれてしまう。
優矢は、私にとって特別な弟だ。
兄弟同士、あうあわないみたいなものも、正直あるけど、一番私になついてくれている。
私は、優矢のために早く学校から帰ったし、優矢が生まれてから、私が家を出るまでの間、お母さんが育児休暇で家にいた。
お母さんとは、いつも英語の時間をした。
お母さんは、翻訳の仕事もしていたから、外国語の小説やノベライズ本に興味があって、いつも自分の勉強がてら子どもに読み聞かせていた。
だから、私が寝る前に優矢と聞いたお休み前のお話は、アメリカやカナダ、ヨーロッパの映画のノベライズ本のお母さん通訳だった。
私にとっては、とても楽しい時間だったけれど、私が中学に預けられると同時に、優矢も保育園に預けられてしまった。
何だか懐かしくなって、ふらっと、優矢の保育園に立ち寄った。
一つ下の妹が、卒業まで、帰り道に優矢を迎えに行っていたらしい。
妹の淳子は、私と同じ学校を受験したけれど、受からなくて地元の学校に通っていた。
彼女こそ、たぶん、あの学校に行きたかったんだと思う。
皮肉なもんだ、なんて考えながら、保育園の中をのぞくと、一枚の張り紙が目に入った。
私は、ふらふらと、保育園に立ち寄った。
半年ぶりに実家に足を向けた。
家の前までやってきて、末の弟の優矢の携帯に電話する。
「姉ちゃん!!」と、すぐにつながった。
「澤谷さん来てるよ。近くに寄ったからって。姉ちゃんも帰ってくんの??」
やっぱり。。向こうは、やることが早い。
「宿題がいっぱいあるから今日は無理だよ。友達んちで宿題することになってんの。」
と、私は言った。こういう時に実家が頼れないのはつらい。
「姉ちゃんのシューアイスとっとこうか?」と、優矢は言った。
「いいよ。置いといても、うちじゃ誰かが食べちゃうでしょ。」
「姉ちゃんと僕の部屋に隠しとく?」
私は、電話のこちら側で笑った。
(とけちゃうじゃん。)優矢は7歳。生まれた時からめちゃめちゃかわいいとは思ってたけど、
末っ子はいつまでたってもかわいい。
「姉ちゃん?」
「???」
「何で電話してきたの??」
「ちょっと優矢の声が聞きたかっただけだよ。」
もうだめだ。また泣けてくる。家に帰りたい。
「また、今度映画見に行こうね。明日また電話していい??」と、私はきいた。
「いいよ」と、優矢が言った。
「こないだ、モンスターのかわいいの見かけたから買っといたよ。何だっけ、、あの、ピカリン」
電話の向こうで、ちょっと沈黙があった。
「優矢はミラファイターの方が好きだな。」
(何じゃそりゃ。)
キャラもんは、毎年変わるから困る。
私が家にいた頃は、優矢の愛を独占していたのは、間違いなくピカリンだった。
お母さんどういう教育してんのよ。こういう時はありがとうだわ。と、心の中でつぶやいた。
かわいくないところもかわいいが、そばにいたら一言たしなめたい。
この子にしても、普通の家で育っていたら、親に内緒で姉ちゃんから呼び出されたりなんかしないのかもしれない。
明日は会いに行こうと思ったけど、それは内緒にした。
優矢の内緒は10分しか持たないから。明日までだと澤谷さんにばれてしまう。
優矢は、私にとって特別な弟だ。
兄弟同士、あうあわないみたいなものも、正直あるけど、一番私になついてくれている。
私は、優矢のために早く学校から帰ったし、優矢が生まれてから、私が家を出るまでの間、お母さんが育児休暇で家にいた。
お母さんとは、いつも英語の時間をした。
お母さんは、翻訳の仕事もしていたから、外国語の小説やノベライズ本に興味があって、いつも自分の勉強がてら子どもに読み聞かせていた。
だから、私が寝る前に優矢と聞いたお休み前のお話は、アメリカやカナダ、ヨーロッパの映画のノベライズ本のお母さん通訳だった。
私にとっては、とても楽しい時間だったけれど、私が中学に預けられると同時に、優矢も保育園に預けられてしまった。
何だか懐かしくなって、ふらっと、優矢の保育園に立ち寄った。
一つ下の妹が、卒業まで、帰り道に優矢を迎えに行っていたらしい。
妹の淳子は、私と同じ学校を受験したけれど、受からなくて地元の学校に通っていた。
彼女こそ、たぶん、あの学校に行きたかったんだと思う。
皮肉なもんだ、なんて考えながら、保育園の中をのぞくと、一枚の張り紙が目に入った。
私は、ふらふらと、保育園に立ち寄った。