おてんばショコラの大冒険
3階の突き当たりから、生徒たちの歌声が聴こえてきます。

(綺麗な歌声!)

廊下をピョンピョン飛び跳ねて行くと、突き当たりの教室は音楽室でした。
開いたドアから中を覗くと、3年生の生徒たちが先生のピアノに合わせて歌っています。
ショコラは見つからないように、そっと中へと入ります。

(私も一緒に歌いたいな!)

ショコラは口を開けました。
残念ながら声が出ません。
それならピアノを弾こうと思い、一番後ろの机の上にあるピアニカのふたを開けました。

すると、ふたが外れて床に落ちてしまいました。

ガタガターン!

大きな音が立ち、後ろの席の男の子がビックリして振り向きました。

「わぁ!ウサギがいる!」

男の子の大声におどろいて、他の生徒もいっせいに振り向きます。

「本当だ!ウサギだ!」

「先生!ウサギがいます!」

みんな歌うのをやめて、立ち上がりました。
音楽の先生もピアノの伴奏をやめて、ショコラを見ると叫びました。

「あら大変!ウサギのショコラが逃げ出したんだわ!」

ショコラは大慌てで音楽室を飛び出しました。

ピョンピョンピョンピョン

必死で飛び跳ねて階段を駆け下ります。
3階から2階、2階から1階まで一気に駆け下りました。

音楽の先生も生徒たちも、ショコラを見失ってしまいました。

「大変!ショコラを捕まえないと!今から放送室へ行って、全校生徒へ向けて放送を入れます。」

音楽の先生が言いました。

大変です。
ショコラは指名手配される事になってしまいました。





< 5 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop