泣き顔の後に笑って




誰も俺を見ていない




誰にも触れない俺は





ただただ太一が教室に向かうのを見てるだけだった








「どうなってんだよーー!!!」




「うるせー!」











「……へ??」





俺の声に反応したやつがいた気がする





「……どこ?」





辺りを見渡すと






俺と同じ格好をした女がいた







そいつは明らかに俺を見ている





「君、俺が見えるのか?」




「見えとるわ!」




その女はスタスタと俺の方へ歩いて来る




「今日からお前を担当することになったんじゃ
あっしはエリカ」




綺麗な顔をした若い女性だった





「誰?担当?何それ?」




俺は疑問に思うこと、意味がわからないことを素直に聞く



するとエリカと名乗る女性はため息を吐きながら





「はあ、お前はもう死んだんじゃ
これから起きることの説明をするためにあっしはお前のところにやってきた
ただそれだけのことじゃ」




変な喋り方だな





なんて思いつつも




「それじゃあ意味がわかんないよ!
もっと簡潔に教えてよ」







するとエリカはこう言う






「この世界はお前の記憶の中じゃ」





「記憶の中?」






そういえば太一は髪が短いはずだけど




今よりも長くなっていた






あの長さは高2の時か?








「なんで記憶の中にいるの?」





エリカにそう聞くと







エリカは俺の髪をくしゃっと掴み





「お前の未練を残さないままあの世に行かせないと
お前は幽霊として現実世界をさまようのことになる
それだと他の人に不幸を呼んだり怪我させたりするだろ?
お前のこの頭の中にある記憶をもう一度整理して
自分の生き様を見てからあの世に行ってもらうんじゃ」









「????」




俺は頭がパンクしそうだった






「おのれ、もういっぺん死ぬか?」








話の内容がよく分からなかったことにエリカは苛立っている様子




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