まるで鏡を見ているように
不思議なクラスメイト
「澪ちゃん、ちょっと待ってよー」
「雫っ!急いで」
八時頃。相馬家はいつも以上に騒がしかった。
この時間、いつもなら私と雫は家を出ている時間。
何故まだここにいるかというと―――。
「この日に限って目覚ましかけ忘れたとか、何やってんの⁉」
「ごめんねー」
トーストをくわえながら言う。
私は雫の長い髪を整え、いつもの二つに結んだ。
よくやってるから、もうお手の物だ。雫が自分でやる方が珍しいかもしれない。
雫の簡単な朝ごはんが済んだところで、二人で家を飛び出す。
私の学校はバス通学がほとんどなのだが、学校が近いためバスは使っていない。
バスじゃなくて良かった。こんな時間、もうバスは来ない。
走って校門を通り抜ける。クラス発表のボードも素通り。新しい学年の昇降口に一直線。
始業まであと五分ほど。さすがにボードの前の人はいなくなっていた。