転生令嬢の異世界ほっこり温泉物語
「建設資金で足りない分は借り入れるのか?」

「そこなのよね……どうしようか悩むわ。商会にしたから、国から借り入れは出来るようになったけど、あまり借金をするのもね……新しい部屋の予約が埋まると決まった訳じゃないから、客足が悪かったらお金を返せなくなりそうだし」

私はリゾート計画のアイデア(オリジナルではないけど)は出せるけど、経営力はあまりない。慎重になりすぎる所があるのか、挑戦するような決断が出来ないでいる。つい安全な方法を選んでしまう。

ある程度の知識はあるけど、資金繰りも得意じゃない。


収益を見込める借り入れなら、事業を広げるためいいのかもしれないけど、自分の判断に自信が持てず、借金をするのに躊躇ってしまうのだ。これじゃあ商会の発展に限度がある。


「でも借金と言っても、必要経費だろ? それにごく普通の経営資金調達方法だから、そこまで不安になる必要もないと思うが。国も無計画な事業計画では資金の貸し出しはしないし、審査に受かれば見込みがあるって言う事だ。もともとエリカの私財でやりくりしていた方がおかしいんだよ」

「そうなのよね……規模が大きくなる程、私の個人資産なんかじゃ対応できなくなるのは当然」

個人的に出した元金は、収益から少しずつ回収しているけれど、新しい建物を建てるには全然足りない。

やはり拡大していくには、借り入れは必須。
だけど、大金を借りるのに抵抗が……。

そう言った事業計画を実現して、返済などを管理してくれる人がいるとといいのだけれど。
コンラードは向いているけれど、領内の管理の仕事があるし、あまり負担はかけられないし、やっぱり私が頑張るしかないか。

「ああ、もっと経済の勉強をしておけばよかった」

つい愚痴ると、ライが返事をくれる。

「エリカは充分な知識があるだろ? それに俺もフォローするから」

「……本当に?」

「 ああ、エリカの帳簿管理は完璧だし、経済にも疎くないし、経営についても……」

「そうじゃなくて、ライがフォローしてくれるって話。本当?」

真面目な顔で語り出したライの言葉を遮り確認する。 だって、とても重要な事だもの。

「ああ」

ライが頷くとホッとした気持ちになった。
良かった。新しい部屋を作るまでここに居てくれる事を確認出来た。

最近の私は、やたらとライの動向を気にしてしまっている。

彼が急に出ていくと言い出したらと考えると、不安なのだ。
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