転生令嬢の異世界ほっこり温泉物語
ライは渋々ながらも、カミラさんの部屋に行ったようだった。

夕暮れになるまで部屋にこもり何か話こんでいたようだったと、他のスタッフが言っていた。

その為、ミント村リゾートのスタッフの間では、ライとカミラさんの仲は、公認になっていた。




カミラさんが来て七日目。

彼女は温泉や整えた庭園の散策を楽しんでいるようだった。

目的は休暇の為か、とてもゆったりと過ごしている。

満足そうな表情を見て、ほっとした。
お客様にこの宿を気に入って貰えるのは嬉しい。

ときどきライと会っているのを知っても、見て見ぬふりをした。

ライにも、カミラさんとの関係を詳しく聞いたりはしなかった。

普段通りに接している。

けれど、今までのように先の事を話して約束を取り付けるような真似はしないように心がけていた。

なるべく頼らないように、少しずつ精神的に距離を置こうとしていた。



ひとりで水場と共に整えた庭園をゆっくり歩きながら、今後の改良点を検討していると、声をかけられた。

「エリカさん」

振り返ると、ゆったりとしたワンピース姿のカミラさんがいた。

彼女は今日も美しく、佇んでいるだけで周囲が華やぐようだった。

「こんにちはカミラさん、お散歩ですか?」

「ええ。この庭園はとても素敵だから気にいったの」

「ありがとうございます」

カミラさんは自然と私の隣にくる。

儚げな美女のカミラさんは一見華奢で小柄に見えるのだけれど、実際に隣に並ぶとそうでもなく、女性として一般的な身長の私よりも結構高い。
長身だからスラっとスタイルよく見えるのかもしれない。
< 120 / 144 >

この作品をシェア

pagetop