転生令嬢の異世界ほっこり温泉物語
今まで見た事もないほど怒っている。

どうして? 私がカミラさんとお風呂に入ったから?

カミラさんへの独占欲から怒っているのだろうか。

衝撃が大きすぎて反応出来ずにいると、ライが怒鳴り声をあげた。

「カミルお前ふざけるなよ!」

空気がぴりぴりとするようなその激しい怒りに私は首をすくめる。

カミラさんも恐怖からなのか私に身を寄せて来た。

するとライが大股で近づいて来て、私の腕を取り引き上げた。

「きゃあ!」

何も身に着けていない肌が外気に触れてしまい、激しい羞恥心が襲って来る。

いくら暗いからといっても、ライに裸を晒す勇気はない。

あんまりな状況に混乱していると、大きな布でふわりと体を包まれた。

「あ……」

頼りない布でも一枚あるだけで、安心感が増した。

ほっとしていると、ライに問答無用で横抱きにされた。


……これってどういう状況なのだろう。


見た事もないほど怒り狂うライ。その彼に唖然としたまま横抱きにされる私。そしてひとり湯舟に残されたカミラさん。


ライ……私とカミラさんを間違えているのではない?

そう思ったけれど、怖くて言い出せない。


だから無言でいると、ライは怒り収まらぬ様子で怒鳴った。
< 123 / 144 >

この作品をシェア

pagetop