転生令嬢の異世界ほっこり温泉物語
意外だったのか、ライは言葉に詰まる。だけど、私はもっと驚いた。だって、どうして今更護衛?

この村に来てから散々一人で出歩いて来たし、それについてコンラードだって反対していなかったのに。

それにどうしても護衛が必要と言うのなら、この館にふたりもいるではないか。

不審に感じ、私はコンラードに問うた。

「コンラード、どうしてライに護衛を頼む必要があるの?」

コンラードは、ニコリと笑って言う。

「前々からお嬢様専属の護衛が必要だと考えていたのです。ですが人手が足りず困っていたところだったのです。ライはそれなりに動けそうに見えますし、丁度良いかと」

「人手不足って……護衛なら館にふたりいるじゃない」

「彼らの手が空いていない為、困っていたのですよ。ミント村は平和な所ですが、お嬢様は思いのほか行動範囲が広いですし、やはり護衛は必要でしょう」

館の護衛ふたりの手が空いていないと言う事については、疑問を感じたけれど、コンラードがここまで護衛が必要と言うのなら従った方がいいかもしれない。

元々私の【精霊の加護】は攻撃能力が皆無だし、一応護身術は身につけているけど、もしもの事が有った場合はひとりでは心許ないものね。

私は納得してライに声をかけた。

「ライ、よろしくね、早速だけど明日は朝から出かけるから、準備しておいてね」

ライは相変わらず戸惑っている様子ながら、了解と相槌を打った。

その後は、コンラードが細かい賃金の話などすると言ったので、私は自室に帰る事にした。
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