転生令嬢の異世界ほっこり温泉物語
地表近くまでお湯が上がって来ていたので、楽に掘れたし、湯量も充分だった。
ライが水路建設を勉強していたので、とても助かった。
お湯を引くのも、排水もそれ程苦労せずに解決した。

そういった基本的設備の準備を終えてから、木と石で湯船を作り、もちろん男女別に分けた。

着替えなど出来るように、簡単な建物を建てたので目隠しも万全。

ちなみに新しい温泉の効果は、【美肌効果】【疲労回復】【健康増進】と、なかなか良い感じ。

あとは、細かい仕上をしてオープンを待つばかり。

と言っても、しばらくは大した集客は見込めないだろう。

この世界は、宣伝方法が乏しい。

一気に情報を拡散する手段が例外を除いて無いのだ。

なのでまずは、トレヴィアの王都とサウラン辺境伯領間の街道に出て呼び込みをするしかない。

その内の何人かが泊まり、気に入って貰えたら、口コミで認知度が上がっていくはずだ。

地道な活動になるけど、頑張ろう。


さて、温泉宿で欠かせない事のひとつに、食事がある。

美味しいご飯の宿は人気が出る。

私達の村では豪華な食事は用意出来ないけれど、可能な限り良い物を出す必要がある。

幸い、我が領主館の料理長の腕はいいから、初めの内は彼に助けてもらう事にした。

ただ、それだけではちょっとインパクトに欠ける気がしたから、特別メニューを用意した。

それは温泉卵。

簡単に作れるけれど、この世界にはないので、ミント村オリジナルになり、みんな新鮮さを感じるはず。

そのまま食べてもいいし、サラダや肉料理にトッピングしても美味しい。

試食ではかなり好感触だったから、旅人にも受けるんじゃないかと期待をしている。

そんな風に忙しくも楽しく準備を進め、私達のミント村温泉リゾートは、ついにオープン日を迎えたのだ。
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