短編:恋の残り香
一方、健司の方はもうすでに美加への気持ちに気付き、一人で悶々としていた。

日増しに可愛くなっていく美加が自分以外の誰かと付き合ってしまったらと、毎日気が気ではなかった。

美加の変化は目覚ましいものがあり、その頃になると美加を狙いはじめた男子がちらほら現れ始めていたのだ。

しかし当の美加はとんでもなく鈍感で、その事には全く気付いていない事だけが唯一の救いだった。


「なぁ?
お前さ、告白しろって。
じゃねぇと美加りん、ぜんっぜんお前の気持ちに気付かねぇと思うぞ」


友人はそう言ってけしかけたが、健司はどうしても踏ん切りがつかなかった。

今の関係が壊れてしまう事が嫌だったのだ。

それを見兼ねた友人達は、彩達と協力して、二人を近付けようと作戦を考えた。

そんな事も知らず、二人は楽しそうに会話をしていた。
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