短編:恋の残り香
美加は一瞬、何が起きたのか分からなかった。
耳元で囁かれた言葉が夢か現実かさえ、とっさには分からなかった。
抱きしめられた体がカーッと熱くなる。
ほてった頬を冷たい風が通り過ぎる。
『あぁ、夢じゃないんだ…』
そう分かった途端、嬉しさが込み上げてきた。
キュンと締め付けられる胸の甘い疼きが眩暈に似た感覚を連れて来る。
美加は黙ったまま、回された腕にそっと触れた。
返事をしたかったが声が出ない。
触れた指先にぐっと力を込めた。
美加の反応に、健司は不安げな声で
「自惚れてもいい?」
と言ったので、美加はコクンと頷いた。
健司は抱きしめた腕に力を込めてギュッと美加を抱きしめていた。
耳元で囁かれた言葉が夢か現実かさえ、とっさには分からなかった。
抱きしめられた体がカーッと熱くなる。
ほてった頬を冷たい風が通り過ぎる。
『あぁ、夢じゃないんだ…』
そう分かった途端、嬉しさが込み上げてきた。
キュンと締め付けられる胸の甘い疼きが眩暈に似た感覚を連れて来る。
美加は黙ったまま、回された腕にそっと触れた。
返事をしたかったが声が出ない。
触れた指先にぐっと力を込めた。
美加の反応に、健司は不安げな声で
「自惚れてもいい?」
と言ったので、美加はコクンと頷いた。
健司は抱きしめた腕に力を込めてギュッと美加を抱きしめていた。