短編:恋の残り香

恋の終わり

付き合い始めて四年が過ぎた。

二人は将来の事を考えるようになり、当然これから先もずっと一緒にいるものだと思っていた。

休日は家具や食器、雑貨を見て回る。

それが定番だった。


「やっぱベッドはキングサイズがいいよな。
美加、寝相悪ぃから」


「えー!健司じゃん、それ!」


「俺は微動だにしねぇで寝てんじゃん」


「嘘ばっか」


未来を夢見ながら二人で取り留めもない話をする。

それが何よりも幸せで、それが続くと信じて疑わなかった。



しかし、それは突然やって来た。

美加が画廊で仕事をしている時、電話が鳴った。

何故か不吉な予感がした。


「健司が事故った!」


目の前が真っ暗になった。

急いで病院に駆け付けると、腕にギブスをはめて、額に大きなガーゼを貼った健司の姿を見つけホッとした。
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