短編:恋の残り香
健司は、香澄の両親から言われた事を美加に言えなかった。

言ったら泣かせてしまう。

健司の前では明るく振る舞いながら、陰で泣くような美加だから…

健司の様子がおかしいことに美加も気付いていた。

溜息が増え、深刻な顔で考え込む事が増えていた。

それが自分にとって良くない事だという予感があり、美加は何も聞かなかった。

聞いてしまったら全てが終わってしまう気がしていた。

健司を信じる。

それしか出来なかった。
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