短編:恋の残り香

動き出す

翌日、健司は学校を休んだ。

健司の友人達が笑いながら


「あいつ、風邪ひいたんだってよ」


「馬鹿は風邪引かねぇんじゃねぇの?」


「だよなー」


「雨ん中濡れて帰ったんだとよ。
夏じゃねーのに、やっぱ馬鹿だよな」


「え?
あいつ、昨日、傘持ってたじゃん」


「遊んでて壊したんだってよ。」


「マジで?!
あいつらしいっちゃらしいけど、マジ馬鹿じゃん」


と話をしていた。


『あたしのせいだ…』


申し訳ない気分でいっぱいになった。

と同時に、あいつなら


「貸したんだよー。
やっぱ女の子には優しくしないとさー」


等と自慢げに話をするんじゃないかと思っていたが、現実は違っていた事に驚いた。


『何で言わなかったんだろう。
…あいつ、案外思ってたのとは違うのかも…』


そう思っていた。



健司が学校に来たのは週が明けてからだった。
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