短編：恋の残り香
それから少しずつ二人の間に会話が生まれるようになっていった。

最初は挨拶を毎日交わすようになり、そこから徐々にに一言二言会話が生まれ、冬が来る頃にはすっかり打ち解けた仲になっていた。

それまでの事が嘘のような二人の仲に一番驚いたのは周囲だったかもしれない。


「お前らいつの間に仲良くなってんの？！」


楽しそうに会話をする二人を見て、健司の友人達は目を丸くしていた。


「何何？
俺らが仲良くなっちゃ可笑しいか？！」


「いや、別にいいんだけどさ、何ての？
どうもピンと来ねぇってか…」


「そっか？別に普通じゃねぇ？」


その頃には美加の態度も随分と変わって来ていて、周囲に打ち解けるようになっていた。


「雰囲気変わったよね」


「明るくなったよね」


美加を昔から知る友人にそう言われ、くすぐったい気持ちになった。

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表紙・目次

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