君がいて、僕がいる。
ベッドの上で、声を押し殺して泣く。
目をつぶれば甦る血まみれの圭介の姿…
もう、その現実が嫌で夢だったと思いたいのに、将希の嗚咽がそんなことを許してはくれない。
「……将希、圭介のとこ連れてってよ」
「は?いや…、お前はまだ休んどけよ」
「大丈夫っ、どこも怪我してないんだし!」
「外傷なくても、精神的に限界きたからお前倒れたんだろがっ!」
「でもおとなしくここで寝てるなんてできないよ!」
強く強くそういえば、将希は目に溜まった泪を拭った。
「少しだけ、だからな」
そういって立ち上がってくれたから、私も溜まった泪を拭う。
「うん、行こ」
許可があったわけでもないのに、私は将希と病室を抜け出す。
おとなしく寝てることはできなかった。
「あ、おい!」
病室を出てすぐ、後ろからお父さんの声で呼び止められた。
「ごめん、説明はあとでするから!」
「親父も来てくれよ!!」
ただただそれだけ言って、エレベーターへと向かう。
こっそりとナースステーションの前も通りすぎて。
もう、そっからはただただおとなしく将希についていくだけ。
3と書かれたボタンを押し、3階へとつくとまっすぐ伸びる廊下をひたすら歩くと、突き当たりに赤く光る『手術中』の文字を見つけた。
「真希ちゃん…?」
「優斗くん…」
たどり着けば、すぐそこにあるベンチにうずくまるように優斗くんが座っていた。
「だ、大丈夫…?」
「うん、私は…
それより、圭介は…っ、」
「……まだ。
もう3時間たつんだけどな…」
圭介…、圭介…!!
お願い、助けて…!神様、お願い…っ、
「…座りなよ。
無理はよくないよ」
優斗くんに促されて、私もベンチへと座る。
将希はそんな私を見届けると、全部説明するからとお父さんを連れてここを離れた。