君がいて、僕がいる。
『守れる男になりたい』
やっぱりその願いはすべて、アユさんに向けられたもの。
私はどうして期待なんかしてしまったんだろう。
アユさんを守ることができなかったから、だからその代わりに私を……なんて
そんなん、自惚れもいいとこじゃん……
『シアワセになりたい』
もう、こんな願いは捨てた。
圭介が助かるなら、私の身が滅びたっていい。
本気でそう思うのに、
どうして私の心は、シアワセを期待してしまうんだろう
圭介が目を覚ませばまたなにか始まるかもしれないなんて、そんな期待をしてしまう私は
本当に、愚かだ。
前に、進みたい
前に進むしか、残されていない。
だから私も、前に進みたい。振り返りたくない。
そう思った私の体は、自然と起き上がった。
そのまま私はベッドの周りを囲むカーテンを開けた。
「どこ行くつもり?」
「ま、さき…!」
そしたらまさかの、ドアのところに置かれた椅子に、将希が座っていた。
「びっくりしたな、もー…
ってかなにしてんの…」
「個室だし、許可もらって俺もここ泊まることにした。
……親たちもけっこう心配してるし。
で、真希はどこ行くつもりなんだよ。消灯時間過ぎてるけど」
「……将希、圭介ってどこの部屋だっけ。」
よくよく考えてみれば、私は圭介の病室がどこだかわからない。
確かに、圭介の病室から歩いてここに来たはずなのに…
「……今は、神谷さんに会わない方がいいんじゃないか?」
「ううん、今。ちゃんと知りたい。
私は、こんなことで負けたりしない。」
私が強くそういったら、将希はドアへと足を進めた。
「見つからないように気を付けろよ」
「……うん」