君がいて、僕がいる。
辛いことは一緒に乗り越えたい。
辛いことを共有したい。
もう絶対、失いたくなんかない。
誰に嫌われようと、この想いだけは変えたくない。
これだけは譲れない。
大事な人を大事にしたい。
もう、傷ついてボロボロな圭介だけど…私が強くしたいんだ。
逃げるのは簡単だよ。
でも…私は限界まで頑張りたい。
諦めて楽になるより、苦しんででも一緒にいたいんだ。
たとえ、それで私の記憶がなくなったって、ね
「圭介っ、」
私は、圭介に近づいて手を握った。
暖かい、この手。なんにも変わってない圭介の手だ。
この手に、私の手は何度も包み込まれた。
…だから、今度は私が包み込んであげる。
「……神谷さん、真希が待ってますよ。
…早く、目覚ましてください」
「こういうときはさ、王子さまのキスでお姫様は目を覚ますよね」
そういう私の声は揺れてしまって
「いや…神谷さん男じゃん」
でも、将希の声も、私同様揺れていた。
「でももし、
……もし、アユさんがいたらさ…アユさんのキスで圭介って起きそうじゃない?」
必死に、溢れてきそうなものを我慢しながら少しでも明るくそう将希に伝えると、将希の表情は歪んだ。
「……神谷さん、早く起きてくれよ
起きて、俺に殴らせてくれよ…
あんたは、好きな女泣かせるような男じゃなかったろ…」
その将希の言葉に、ついに我慢してたものが溢れた。
手を握ったまま、圭介の手にポツポツと私の泪が落ちて濡らしていく
「お願い、逝かないで……」