君がいて、僕がいる。



ポロポロと出る泪を拭うこともせず、圭介の手をつよく握る。

目を覚まして

そう願いながら、圭介の名を呼ぶ


私には、そんなことしかできなくて……


「…真希、そろそろ戻ろう
抜け出したのバレたら騒がれるぞ」

「……ん」


時計の針はもうすでに2時を指している。
だけど、いつ見回りにくるかわからないから…

私は泪を拭って、崩れ落ちた足をもう一度立たせる。


「……圭介…」


はやく、目を覚まして。
みんな待ってるよ。

もう、私はそばで見てることはできないけど…それでも願うことは自由だよね…?


「……おやすみ」


そう呟いて、もう一度強く手を握る。

「___え?」

その私の手に答えるように、微かに私の手が弱く弱く、握り返された気がした。


「どうした?」

「…今、微かに動いたような気が…」

「え?」


わからない。
もしかしたら思い過ごしかもしれない。
私の頭が、事を都合よく考えているのかもしれない。

そんなわけないよな…?と思いつつ、

「けい、すけ…?」

さっきより小声で、でも強く手を握りしめて、軽く揺すってみた。


「……神谷さんっ!」


もしかしたらまた握り返すかもしれない。
そう思って、強く強く手を握りしめ、そしてその手を見つめていた私の横で、将希が大きな声で名を呼んだ。


「真希、神谷さんの眉毛動いた!
起きるかも!真希も名前呼べよ!!」


そういって、圭介の名前を将希が何度も呼んで、体を揺する。
それに対して、私はなにもできなかった。

なにもできない。
だけど……私の手は、確実に握られている。
さっきまで、なんの力も感じなかった圭介の手が私の手を握っている。


もうそれだけで、意識が戻る
そう、確信していた。


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