君がいて、僕がいる。



「あのとき、怒鳴ってごめん
俺、アユがそんな女だって受け入れたくなくて…」

「……いいと思う」

「えっ…?」

「だって、圭介が真剣に好きになった人だもん。
ずっと信じてるなんて、素敵だよ」


ね、そうでしょ?
それだけで、アユさんは幸せだよ


「……でも、真希は傷つけた。

あのとき将希に言われてハッとした。
俺…本当は真希を大事にしたかったのに…そのためにケジメつけにいったのに…結局真希傷つけて…」

「……でも、本音でしょ?」

「……わかんねぇ。
でも、俺ずっと考えてたんだ。
なんでそんなこと言っちゃったんだろうって

あんだけアユのことで傷ついたのに、俺は真希にも同じことをした。
それをすっげぇ後悔したんだよ。
真希は俺のために必死だったのに……」


その顔が苦しすぎて、もうなにも言えなかった。
そのときのことを思い出すと、私の心も痛むから……


「でも俺…もう真希を失いたくなかったんだ
本当は、真希を失うなんて絶対やだったんだよ」


そういって、また腕の力が強まったから、私はまた圭介の中に埋もれた。


「本当は、真希の幸せなんか願いたくなかった。
俺が、真希を幸せにしたかった」


その言葉に、私の目にはまた泪が溜まった。


「真希の幸せを、誰かに譲るなんて絶対嫌だ」


そう強く私を抱き締める圭介に答えるように、私も圭介を強く強く抱き締めた。


「……そんなの、私だって一緒だよ」

「えっ…?」



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