君がいて、僕がいる。
「あのさ、俺も聞きたいことあるんだけど」
「ん?」
なんだ?と思っていると、圭介はいじけた顔して私の顔を覗き込んできた。
「……俺のあげたネクタイ、絞めないの?」
「え、だって切っちゃったし」
「え!真っ二つに切ったの!?」
「あ、いや…縫い目を切ったんだけど、縫ってないし…」
「縫ってよ!んで絞めてよ!」
「えー…裁縫苦手なのに…」
あれを綺麗に戻すのは嫌だなぁ…
しかも手縫いだし…縫って使うのは厳しいなぁ…
「……ならこれあげる」
そういって圭介は自分の絞めていたネクタイを取って、私のネクタイまで取って、私の首に青いネクタイをかけた。
「え…でも圭介ないと困るじゃん」
「俺は怒られ慣れてるし!
っていうかネクタイ怒られる前にこの茶髪怒られるし、別にいいよ。
職員室で新しいの売ってるしね
だからそれ、絞めといて」
「……ありがと」
「俺の自己満なんだからお礼言わなくていいよ」
そんな優しい笑顔を横に、私は早速ネクタイを絞める。
青いネクタイなんて初めてだからなんだか恥ずかしいし慣れないけど…
「うん、良し。」
圭介が満足そうに微笑んでるから、私も全くまんざらではない。