君がいて、僕がいる。



「ねぇ、圭介って彼女いたじゃん?」

「ん?うん」

「何で別れたの?」


唐突にそう聞くと、圭介はガラガラとうがいをして、顔まで洗ってからこっちに戻ってきた。
なんていうか…少しだけ濡れた髪の毛がなんともにあう。

いつもはあんなさっぱり爽やかなのに、ちょっとだけ濡れてるとなんか妙に色気が出てる。

なんなんだ、まったく。


「俺はフラれた側だから。
本当のとこ理由は相手にしかわからないよ」


…ほら、たまにそんな目をする。
今はそんな目が色気と混ざって、それがなんともいえない…


「…そっか。
じゃあなんで付き合ったの?」

「え、んー
好きだから?ってかそれ以外に付き合う理由ないでしょ」

「あ、うん。そうだよね」


逆にどんな理由があるんだよ、私。


「なに、急にそんなこと聞いてきてどうしたの」

「んー、私って彼氏できたことないから
みんなはどうやって付き合ってんのかなーとおもって。
弟も彼女いるしさ」

「興味あんなら誰かと付き合ってみたら?」

「いや、誰かって誰もいないし」

「俺は?」

「・・・はい?」


なに、言ってんの?この人。
自分の言ってること、わかってます?


「だから、俺の彼女やってみるとか」

「…どんだけ適当なの」

「だって興味ありそうだったから」

「いやいや、そういうんじゃないから。
誰かに好かれるとか、好きになるとかどんなんなのかなーとおもっただけ。」


だいたい、ついさっき『好き以外で付き合う理由ない』とか言ってた人がなに言ってんの。

将希もそうだけど…そんな簡単なことじゃないでしょ。


「もしかして初恋もまだ?」

「え、んー
そういうわけではないけど、恋かと言われると悩む感じなもんだね。」

「そっかー」


恋に発展しそうと思うと、だいたいすでに誰かの物で
私も、誰かに愛されてみたい。


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