君がいて、僕がいる。



「あ、わかった」


呆れてなにも言えなくなったところで、先輩がまたなんか思い付いていた。


「真希ちゃんは未練ないんでしょ」


そして、また意味不明なことを言い出した。


「……まぁ、ないっちゃないですね」

「ほらー、それがだめなんだよ
未練だらけで死ぬくらい、もっといろんな幸せ手にいれなきゃ!」

「そしたら死ぬ必要性がなくなりますね」

「でも人間、いつか死ぬんだよ」

「そりゃいつかは死にますけど」

「未練とか心配事とかめっちゃ抱えて死に恐怖を覚えて
でも幸せな人生だったなって死んでくんだよ」

「・・・はぁ」

「だから、真希ちゃんはまだ死んじゃダメだよ」

「だから死にませんってば」

「あはは、そうだった」


・・・なんか、掴みどこのわかんない人だなぁ…
いちいち力抜けるよ……


「でも、生きてるの疲れたんでしょ?」

「…そう、ですね」

「どうして?」


初対面、ついさっき顔を合わせたというのに
存在すら知らなかった相手に、この人はよくこんなに土足で踏み込んでくるな。

ある意味尊敬するわ


「先輩には関係ないですよ」

「でもさ、辛いことって大切な人には言えないもんじゃん?
逆に関係ない俺の方が話しやすくない?」

「あー、それはあるかも」

「ほら、話聞くって」


……この人には敵わないなぁ…というか


「居場所、なくて」


なんか…話しやすい
この人の雰囲気というか、空気というか…意思とは関係なくポロポロと本音が溢れてく


「私、同じクラスの友達の彼氏だって知らずにその彼氏と二人で出掛けちゃって、それでクラスでいじめられてて」

「えー、でもそれって男が悪くない?」

「んでも標的は私ですね
毎日学校来るなとか死ねとか言われてますよ」

「うわ幼稚~」

「で、家では弟のことで親がケンカしてて。
弟は自由に育って今荒れてて。中学生なのに何回も警察のお世話になってて
私が家にいてもいなくても親は気づかない。

そんなもんなんですよね、私の存在って。


死ぬ覚悟はないけど、生きるのは疲れました。
私がいなくなっても誰も悲しまない、どころか誰も気づかないだろうし

そんなもんなんです」


「そっかー」


……私がこんなに話したって言うのに、それだけ?
そんな軽いトーンで終わりですか?先輩。



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