君がいて、僕がいる。


一部、また一部、私のホチキスの音と、優斗くんが入力するパソコンの音だけがこの部屋を占領する。

遠くに聞こえるセミの鳴き声だけが現実的だ。
セミは夕方になってもまだまだなき続けて元気だな…なんて考えながら残りわずかとなったこのプリントたちをまたホチキスで止める。
これもすっかり慣れたし、なんなら手が疲れたそんな時。


「え、はや!もうそんなできたの?」


やっと優斗くんが言葉を発した。
やっとだよ。さっきまで、私がなに言ってもすべてシカトだったのに。


「え、早い?こんなもんじゃない?」

「それができないやつも多いんだよ。
やっぱり真希ちゃんは生徒会に向いてるんだね」

「いやいや、絶対ないですよ。
っていうか、向いていたとしても私は絶対生徒会に入らないと決めた時間だった」


うん、先に知れてよかった。
こんな雑用押し付けられるなら私は絶対に生徒会には入らないね!!
そんな暇はないわ。


「じゃあもう夕方だし、それ終わったら帰ろうか」

「えー、まだ帰りたくない」

「お礼にご飯をおごってあげよう」

「さすがの生徒会長」


そういって私は最後の一部に手をかける。
これでこの仕事も終わりだ。


「ふぅー、疲れた!今後は暇でもここに入ることはやめます。」

「でも本当に助かったよ!
俺一人じゃ絶対終わらなかったから!

片付けて帰ろっか」

「え。片付け?これを?全部?」

「え、うん。もちろん。
この段ボールにしまって、職員室まで運ぶよ?」


な、なな、なんだと!?!?
職員室まで運ぶ!?しかもこの中にしまうなら最初から言っといてほしかった!!そしたら最初からこの中にいれておいたのに!!


「すごいめんどくさそうな顔してるね」

「バレたか」

「バレバレだけど」


でも、優斗くんはいつもこんな仕事してるんだもんね……しかも一人で。
っていうか、他の生徒役員はなにしてるんだろ…手伝いに来いよな

おかげで私がやるはめになったんだからな。


「はい、真希ちゃんも早くこの中にいれる」

「顔に似合わず人遣いが荒いな」

「いやいや、真希ちゃんが優しいから特別にね」

「こんな嬉しくない特別初めて」

「やったね」


い、いや…なにがやったね、なんだよ。
鬼畜か。ったく…私もやりますか、仕方ない……



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