君がいて、僕がいる。
「真希ちゃん?行ける?」
「あぁ、うん」
今度こそ立ち上がって、先に行った優斗くんを追いかけて屋上を出た。けど、圭介が気になって一瞬止まって振り返った。
「…はは、俺女々しすぎ」
圭介しかいないはずの屋上
きっと独り言なんだろうけど、それを聞いてしまった私の足はなかなか動いてくれなくて
「真希ちゃん?」
結局優斗くんの声で私は足を動かした。
「なんかあった?」
「……とくにないけど、圭介とは別れたの」
「え、は?早くない?
何日間?」
「んー、2日かな。」
「なんでまた…しかも別れたのに2人でいるんだね?」
「昨日、圭介から彼女のこと聞いたの。
結局圭介はまだ彼女のこと好きだから、私は2番目なんていやだからって、前に戻ったの。
別れたっていうか、もとに戻った」
「そっか。あいつ佐脇のことしゃべったんだ。」
「佐脇?アユさんて人のこと?」
「そう。佐脇歩美。ここの生徒だったから、俺ら3年はみんな知ってるよ。
佐脇になにがあったのか、なんで自殺したのか。
だから、みんな神谷には話しかけない。
そんくらい、みんなも神谷に気を遣って過ごしてる」
「あの…アユさんになにがあったのか、圭介になにがあったのか、教えてくれない?
そこんとこは教えてもらえなくて……」
「でも俺から聞いたらきっと神谷に怒られるよ。
そのくらい、デリケートな問題だから……
それでもいいの?」
「……いいよ。嫌われたっていい。
それでも知りたい。」
なにがあったのか
圭介はいったいなにを抱えているのか
ちゃんと知りたかった。
ちゃんと圭介を知りたかった。
「……わかったよ。
その代わり、話はお昼ね。
それまではしっかり働いてよね!」
「・・・鬼。」