君がいて、僕がいる。
「……なんか、ごめんね」
なにも言えなくなってしまって、どうしていいのかわからなくなってしまって、私はありきたりな謝罪しかできなかった。
「なんで真希が謝んの。もとはといえば俺が悪いのに」
「だってなんか
ただ圭介に笑ってほしかっただけのに、うまくいかなくて
私のせいで圭介が悩んでるから……」
『私が笑わせたい』
『私が幸せにしたい』
そう願うのに、そんなことすら私にはできない。
彼女なのに、そんなことすらできない。
ただ一緒に、前みたいに笑いたいだけなのに
『1番になりたい私』と『私を1番にしたい圭介』が邪魔をする。
一見、思いは一致してるのに、それを意味してるのが
1番を望んでしまっている私と、私を一番に愛せない圭介。
その現実を突き出されて
「……真希?」
その過酷な現実を受け入れる覚悟だったのに、受け入れきれていない私は涙というものを流してしまっていた。
「ご、ごめ…
なんでもないよ」
私が笑顔でそう言うと、圭介は思いっきり私を抱き締めてきた。
「も…、笑わなくていいから」
その切羽詰まった声が、また私の胸を締め付ける。
どうしてもその痛みから逃げることができなくて、私は圭介の肩でまた涙を流す。
どうしたらいいのかわからなくて
どうして私じゃないのかってまた滑稽でくだらない疑問が私の頭を埋め尽くしてきて、そんなことを考えてるから、また涙が出てきてしまって
「ごめん…」
こんなに私のことを大事にしてくれてて
私を想ってくれていると伝わってくるのに
どうして私は、その想いを正面から受け止めることができないんだろう。
こんなにも苦しくて
こんなにも苦しめてしまっているのなら
私なんかやっぱり、2番目で十分なんだろうな。
2番目だとしても、彼女は私だけなんだから。
……彼女は、私だけなんだから。
2番目だって別にいいじゃないか。
「……ごめん、もう大丈夫」
もう涙を流すことはやめる。
2番目でも、しっかりと好意を向けられている。
その現実とちゃんと向き合っていく。
そう決めて、私は抱き締めてくれたこの人から離れた。
へへ、と軽く笑顔を見せるも、圭介はまだ私の手を握ったまま険しい顔をしてるけど
「大丈夫だってば。
私は圭介の彼女だもん。」
……彼女だもん。
誰が1番とか2番なんて関係ないよ。
私が君を好きで、君が私を好きでいる、
それで十分だよ。……だから、大丈夫。