君がいて、僕がいる。
先輩と願い事。
それからは圭介の部屋にあったアニメの映画を見て
「……なぜこれで泣く?」
まったく悲しくもないのに、私は涙を流してしまった。
「いやなんか…いい映画だなぁと思って」
本当に泣けるような映画ではないんだけど…でもなんか、人と人との繋がりがすごく大切に思えてきて、人を優しくするのも人なんだなとか思えてきて
最近、誰かと関わることから避けていた私にはすっと心に沁みた。
人を傷つけるのも人であるなら、人を優しい気持ちにさせるのも人なんだって
私はこの数日で知ったから……
「たぶんこれで泣いたの真希だけだよ」
「もう、いいじゃん。
こういう童心が沁みる時期なんだよ」
「ふぅん、そうなん?」
家族との絆だったり、友達との絆だったり……
どれもこれもが私には無縁なことばかりだったから……
[ねぇ、そういえば流星群どこで見る?」
「え、学校の屋上でいいんじゃない?
優斗くんに連絡しといてよ」
「……なんで木村?」
「え、なんか学校にずっといそうだから?
あの人が生徒会の仕事してれば昇降口閉まらなそうじゃない?」
「あー、それはあるかも。
でも夜の学校いくの?」
「あ、怖いのか。圭介以外と怖いのだめだもんね」
「バカにすんな」
そういって私の頭を小突くけど
学校以外だと他どこがあるかな……
ここらへんだと……
「あれ、あそこの丘は?」
「……もしかして、市役所のとこ?」
「そうそう」
「えー、あそこ階段めっちゃきついからやだ」
「学校で屋上までいくのと大差ないと思うんだけど。
高さ的には学校より低いじゃん」
……確かに。
でもなんか学校は途中で折り返しがあって踊り場があるけど…あそこはひたすらまっすぐなんだもん。
落ちたら死ぬやつだよ。
「っていうか、あそこ慰霊碑立ってるし、絶対学校より怖いよ。普通に出そうなんだけど。
戦争中の処刑場だったとこでしょ?」
「え、そうなん?知らなかったんだけど」
「超有名な話だけど。それこそ。
学区外の私でも知ってんのに、どうして圭介が知らないんだ」
「昔、普通に俺らあそこで遊んでたのに」
……え、あそこで遊んでたの?
遊ぶためにあの階段上ってたってこと?やば。
私なら絶対嫌なんだけど。
どうでもいいけど男ってすごいな。
「……まぁ、圭介がそこがいいっていうんなら別にいいんだけどさ。私はどこだって」
「ん、じゃあそこにしよ」