君がいて、僕がいる。



ということで帰り支度をして、今日も家まで送ってくれるという圭介と一緒に玄関へと向かう。

「あーあ、俺今日この後どうしよう」

「圭介も自分の勉強でもしなよ。受験生なんだし」

「だから、俺にはそういうの必要ないんだって」

「意味わかんないよ、それ」


たとえ大学にいかないにしても、勉強しとけばいいのに。
……もしかして勉強すごい嫌いなのかな。…まぁ、私も全然好きじゃないけどさ


「…まーき。」

「ん?……っ、」


玄関で靴を履き、先に出ようとドアノブに手をかけたとき、圭介の手に掴まれた私の腕によって後ろを向けば
圭介はまた私にキスをする。


「ちょ、玄関で…」

「だって今日全然してないし」

「お、屋上でしたじゃん!」

「軽く触れただけで拒否したじゃん!」

「だって外でするから!」

「だから、ここならいいでしょ?」


そういって、この狭い玄関で私にまた迫ってくる。
触れるだけのものから、大人のキスまで
ちょっとだけ大人の圭介についていくのに必死だった。


「……あー、だめだ」


…でも最近、キスをして離れるとき大抵圭介はこうやっていう。
なにかの後悔に襲われてる


「……なにが?」

「んー…ううん、送るよ。行こ」


そういって、なぜか圭介の方が先に家を出る。

……なんだかなぁ…最近はキスしても大抵キスしたことを後悔している。
そんな、私とキスするのがいやなのか…なんなのか…

キスしたいのか、したくないのか私にはわからなくて


「…真希、手。」

「……うん」


最近、圭介から溢れ出るこの『好き』が素直に受け入れることができなくなっている。
気持ちが、よくわからなくなる。


「明日迎えはやくてもいい?」

「え、早いって何時?」

「わかんない。8時とか、7時とか」

「はやっ」

「だって今日はやく帰るから真希不足になるし」

「……なんなの、それ」

「午後は親戚の家に行くから、その前に俺んちで二人きり満喫する」


……なんだ、それ。
でも、そんだけ一緒にいたいと思ってくれてるなら、喜んで朝早く起きちゃうよ


「……しょうがないなぁ」

「いやいや会いたいの俺だけみたいな反応しないで」


その言葉に、私はまた笑う。
たまに圭介のきもちがわからなくなるけど、でもやっぱり最近の圭介からは私を想う『好き』が溢れてるから、結局私を幸せにする。


「……最近、真希幸せそうに笑うこと増えたよね」

「え、嘘。圭介をバカにして笑ってるつもりだったのに」

「コラ!!」


でも、でもさ
こうやって一緒に笑っていられることが本当に、なによりも幸せだよ。

今の私にとって。



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