生徒会長とのお約束
「ほら、こっちの教室チェックするよ!」
「話逸らすの下手ですね。まぁいいですけど」
私がチェック対象の教室へ足を向けると、夏目くんはこれ以上何を聞くでもなく付いてくる。
今見つけた。夏目くんのいいところは、周りへの興味に執着しないところだ。
「先輩。こことここ、傷あります」
「え、どれ?……あぁ、それは前から付いてるやつだね。記録だけしておいてくれる?」
そしてやはり凄いのが、夏目くんの仕事ぶり。
散々愚痴やら文句やらを言う割には、きちんとこなしてくれるから助かる。やればできる子、夏目くんだ。
「ふぅー。これで全箇所チェックできたね」
「……だるかった」
「まぁまぁ。なんだかんだ真剣にチェックしてくれてありがとうね、夏目くん」
私たちが受け持ったエリアのチェックが全て終わったのは、それから1時間後。
再び愚痴をこぼす夏目くんをなだめながら、私たちは生徒会室へ戻った。