生徒会長とのお約束
「蜜先輩」
「ん?」
質問ラッシュが終わった頃に、改めて夏目くんが私の名前を呼んだ。
ずっと資料を見ていた私は、顔を上げて目を見張る。
「今気づきました?」
「ちょ、近い……っ!」
「先輩って鈍いですね」
顔を上げた目の前には、夏目くんの顔。いつのまにか私たちの距離はとっても近くなっていたのだ。
悪びれる様子ゼロの夏目くんに、私はキッと睨む。
いくらなんでも距離が近すぎる。こんなところ、藤くんに見られたら……。
慌てて会長椅子に座る藤くんを見るけれど、藤くんは気づくこともなく何やら作業をしていた。
「会長、気にしてないですね」
そんな藤くんの姿に落胆する私の耳に、夏目くんがこっそりと耳打ちをする。
「……!まさか、それを狙って……!?」
「蜜先輩、脈なしですよ」
夏目くんは、どうやら藤くんの私への気持ちを確認しようとしていたらしい。