生徒会長とのお約束



「いったぁ〜…。何ですか、急に!」



不意打ちのデコピンは痛すぎる。


ヒリヒリとするおでこを摩りながらキッと睨むと、また藤くんの右手が私の顔へと近付いてきた。


思わずギュッと目を瞑ったけれど、いつまで経ってもそれはやって来ない。



「またやられるとでも思った?」

「……へ?」


藤くんの声にそーっと目を開けると、藤くんは意地悪に笑っていた。



「さっきからボーッとしすぎ。仕事しろよ、副会長。いつ後輩が出来ても教えられるように、な」

「う…っ」


読まれていた。美海先輩と沙耶ちゃんのやり取りに思っていた感情を。



そう思うと同時に、やっぱり思う。


藤くんは、夏目くんが来ることを待っている。ということはつまり、さっきの美海先輩との会話にあったことはあり得ないなぁ、と。



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