生徒会長とのお約束
触れるだけの短いキス。
……かと思えば。
「……メガネ、邪魔だな」
一度離れた藤くんはそう言ってメガネを外し、再び私に触れた。
「ダメだな。俺まだシャワー浴びてないのに」
「藤く……」
「甘えてくるお前が悪いんだぞ」
さっきまで余裕があったのに、キスが深くなるにつれてその顔が崩れていく。
……あぁ。私、愛されてるなぁ。
好きな人に求められるこの瞬間は、たまらなく幸せだ。
「やっぱ一緒に風呂入ればよかったかな」
「ふふっ。待ってるから早く入っておいでよ」
「ったく……。煽っといてズルいな、蜜は」
名残惜しそうに私の額にキスを落とすと、藤くんはソファから立ち上がる。
脱衣所に向かうその後ろ姿を眺めながら、結婚したらこんな感じかなぁ、なんて数年も先の夢に想像を膨らませていた。