生徒会長とのお約束
◇ バレてはいけない
「もう!藤くんのバカっ!」
「ははっ。ごめんごめん」
次の日も、私たちは普通に学校の日。
と言っても、カレンダー的には土曜日だから授業はなく、生徒会としての集まりだけなんだけど。
「あと10分だよ藤くん!走れーっ!」
集合時間が10時でいつもより遅いのをいいことに、朝から藤くんがちょっかいをかけてきた。
だから、気づけばこんなギリギリの時間になってしまって、今に至る。
「ったく。そんな急がなくても」
「いやいや藤くん会長!これ普通に歩いたら完全に遅刻ですよ!?」
「おいこら、その呼び方やめろよ。蜜だって喜んでただろーが」
「なっ……!!それ言わないで!」
クスッと意地悪に笑う藤くんに、急に体温が上昇する。
よ、喜んでなんか、ない……もん。
そうだよ。先にちょっかいかけてきた藤くんが悪い……!
朝の出来事を思い出してしまって、私は1人で熱を冷まそうと必死。その横で楽しそうに見つめてくる藤くんには、キッと睨んでおいた。