生徒会長とのお約束
「ま、事情はあとでゆっくり伺いましょうか?」
「あは、あはは……」
こういうときの美海先輩からは、到底逃げられない。
藤くんとのデートの次の日は特に、美海先輩に根掘り葉掘り聞かれるのが定めなのだ。
「皆川の事情聴取とかだるすぎるんだけど」
「ん?何かな?瀬川クン」
「おー、怖い怖い」
もちろん、その定めが待っているのは私だけではなく、藤くんも。
ただ、藤くんに関しては毎回美海先輩の質問に答える気はないらしく、美海先輩曰く「奴は気まぐれでしか口を割らない」のだそう。
口を割らない、だなんて言葉を使ってる時点で、生徒会内での美海先輩の立ち位置は、立派な刑事さんだ。
「蜜先輩?顔、赤いっすけど」
「……へっ!?」
横にいた夏目くんが、私の顔を覗き込んでそう言う。
見てないようでよく周りを見ている夏目くんは、私の顔がまだ火照ってることに気がついたようだった。