手のひらの天秤 ~究極の選択ゲーム~
世界からの削除……。
それは、世界から『姫宮志芳』の生きた記録を全て消し去ってしまうことだった。
「ごめんね。志芳ちゃん……」
その日は一日中、私は泣いていた。
死神ゲームの犠牲になってしまった志芳ちゃんへの申し訳ない気持ちと、志芳ちゃんを失ってしまったことへのどうしようもない悲しみが私の胸を苦しめる。
でも、この痛みは誰にも分かってもらえない。
だって志芳ちゃんのことを知っている人は、
もう私以外どこにもいなんいんだから。
まるでそれは、熱したナイフで胸をえぐられるような気持ちだった。