手のひらの天秤 ~究極の選択ゲーム~
「なんだか無性に欲しくなったのよ、この傘。とても懐かしく感じるというか……初めて見た傘なのに、私にとって大切な思い出が詰まっている気がして……」
そう言って私は手で傘をクルクルとまわした。
「へぇ、なんだか不思議だね」
「それより! 愛子も傘に入れてよ! 愛子の可愛い髪が雨で痛んじゃうよ!」
「あっ、私も」
「ちょっと、二人も入ってこないで。折り畳み傘なんだし、そんなに入れないわよ」
「いいじゃん! ほらっ、もっと寄って!」