人魚の住む海
3.17歳の夏
「夏休み、オレんちの別荘にこない？」

ある日タケルが私たち4人に声をかけてきた。

「わーい！！すごい子供の頃以来だからうれし～♪あの別荘に誘ってくれるなんてめずらしいね～」

沙紀がはしゃぐ。

希美とジュンもヤッター！と喜んでる。

「湊もくるだろ？」

タケルが聞いてきた。

「えと。私は・・・」

「行こうよ行こうよ。絶対楽しいよぉ」

沙紀が腕をひっぱってくる。

「だって4人してカポーなのに私1人あましなんだよ。ミジメじゃん」

あの海にタケルと行くのが・・・辛いってのが本音なんだけど・・・

「なにそんなこと気にしてるんだよ。湊らしくない」

ジュンがそう言ってくれたけど。

「だってさ・・・」

他に断る理由が見つからず黙ってしまう。

「じゃあそういうことで。5人で行くこと決定だから」

タケルにキッパリ言われ私はうなずくしかなかった。
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表紙・目次

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