人魚の住む海
浜辺でのバーベーキューは大いに盛り上がり、私たちは手早く片づけを済ませ別荘に戻ってきた。

「あー、騒ぎすぎて疲れたー。今日はよく眠れそう」

希美がリビングのソファにどかっと腰掛けた。

「オレ、シャワー浴びてくるわ」

タケルがそういって自分の部屋に戻る。ここは各部屋にシャワールームがあるのだ。やっぱりカネモは違う。

「アタシも部屋で浴びてこよっと。ね。湊」

沙紀が私を振り返った。

「今日こそ夜這いかけちゃうから。アタシ」

「あ、うん。がんばってね」

いよいよか・・・と思うと気が重かった。今日は早く寝てしまおう。私も早々に自分の部屋に引き上げることにした。

シャワーを浴びてどかっとベットに横になる。今頃タケルと沙紀は・・・とつい考えてしまう思考を頭の外に追いやる。

なんとか眠れそう・・・

ウトウトしかけたときにトントンとドアをノックする音がした。

「はい?」

「アタシ。沙紀だけど」

ドアを開けると目に涙をためた沙紀がそこに立っていた。
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