人魚の住む海
「ただ仲間と遊びに来ただけだろう?だいたいそういうことしたいなら2人で来るっつの」

イライラした口調でタケルが言う。怖い・・・

「いや、そうかもしれないけど・・・希美とジュンがあれだけ仲いいし沙紀もそうしたいっていうのは当たり前だと思うんだけど・・・」

「だからそれを何でお前に言われなくちゃいけないのかって聞いてるんだけど」

タケルの声が少し大きくなる。

「・・・。」

険悪な雰囲気で沈黙が続く・・・どうしようどうしよう。

「たしかにそうだね。ごめん・・・」

ダメだ。この雰囲気なんとかしないと。耐えられない。

「あはは。まぁ2人のことだから口だしするのはヤボだったけどさ。だって沙紀がタケルがホモなんじゃないかって心配しだしてさぁ。ホモ疑惑かけられるってタケルだってやだよね」

つとめて明るく笑い話で言ったつもりだった。

タケルは笑ってなかった。さっきより雰囲気が悪くなる。ううっ最悪だ。

「その疑惑だったら・・・今すぐ違うって証明できるけど」

今までに聞いたことないくらい低く静かな声でタケルは言った。
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