人魚の住む海
「っていっても今はまだすぐに切り替えできないけどね。アタシだってタケルのことすごく好きだったんだもの」

沙紀は笑った。

「夏休みが終わる頃までにはきっと立ち直ってると思う。だからさ湊。学校で会ったらまた前みたいに友達でいて欲しい」

「沙紀・・・ごめん・・・私・・・」

沙紀はいい子だ。本当に・・・。涙が止まらなかった。

「あやまらないでよ。アタシがミジメじゃん。大丈夫だから」

沙紀は私の頭をなでてくれた。泣き笑いみたいに顔をクシャクシャにして。

本当は逆の立場のはずなのに私はビービー泣いていつまでも沙紀に慰められていた。
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