人魚の住む海
「やっぱり朝の海って好きだな・・・」

私とタケルはまた2人であの海に来てる。

砂浜に座って朝焼けをずっと見ていた。

「オレ、水泳やっててよかったな」

唐突にタケルが言った。

「え?」

私は朝焼けに染まったタケルの顔を覗き込む。

「前に約束しただろ。泳げるようになったら人魚の世界に一緒に連れて行ってくれるって・・・ここで・・・約束守りにきてくれたんだよな」

「だから、悪かったってば。私はただの人間だし家はただの集合住宅でしたってば」

私はブーたれる。

「ダメ。約束は守ってもらうから」

「もー、だからさ」

素もぐりでもさせるつもりなの?カンベンしてほしい。

タケルはフッと笑った。

「人魚の世界ってのはゆるしてやるけど、一緒にっていうのは守ってもらう」

「一緒に?どこに連れて行ってほしいの?」

タケルがあの憂いを含んだ目で私を見つめて言った。

「お前が・・・そばにいる未来・・・なーんて」

うわー何その殺し文句。照れる。

私は顔が真っ赤になるのを感じながら、そっとタケルの手を握り締めた。


〜こうして人魚姫は王子様と恋に落ち末長く幸せに暮らしましたとさ〜

めでたしめでたし。
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