人魚の住む海
2.16歳の春
「はい、今日からこのクラスの仲間になった深瀬湊さんです」
転校初日、私は「よろしくお願いします」とおずおず頭を下げた。
3年前に母は水産加工工場の営業部長と再婚し、その新しいお父さんが本社に転勤になったので私たち家族は海辺の町を離れ、都会の○×市にやってきた。
高校2年の5月に転校なんてずいぶん中途半端だ。友達できるといいけど。
「というわけで、一ノ瀬くんの隣に席作っておいたからそこ座ってね」
担任の先生に、窓際の一番後ろの席を示される。
私は示された机の上にカバンを置き隣の一ノ瀬くんに声をかけた。
「なんか特等席とっちゃってごめんね。深瀬です。よろしく」
「あぁ、よろしく」
あまり興味なさそうにこちらを見た一ノ瀬くんと目が合い、私ははっとする。
彼はもう色白でも華奢でもなかった。むしろ精悍な感じで日焼けをしていたし足も長く立ち上がったらかなりの背の高さだろう。
でも私はその薄茶のサラサラ髪と髪とおそろいの薄茶の憂いを含んだ三白眼に見覚えがあった。
・・・王子だ・・・
心臓が止まりそうになった。
転校初日、私は「よろしくお願いします」とおずおず頭を下げた。
3年前に母は水産加工工場の営業部長と再婚し、その新しいお父さんが本社に転勤になったので私たち家族は海辺の町を離れ、都会の○×市にやってきた。
高校2年の5月に転校なんてずいぶん中途半端だ。友達できるといいけど。
「というわけで、一ノ瀬くんの隣に席作っておいたからそこ座ってね」
担任の先生に、窓際の一番後ろの席を示される。
私は示された机の上にカバンを置き隣の一ノ瀬くんに声をかけた。
「なんか特等席とっちゃってごめんね。深瀬です。よろしく」
「あぁ、よろしく」
あまり興味なさそうにこちらを見た一ノ瀬くんと目が合い、私ははっとする。
彼はもう色白でも華奢でもなかった。むしろ精悍な感じで日焼けをしていたし足も長く立ち上がったらかなりの背の高さだろう。
でも私はその薄茶のサラサラ髪と髪とおそろいの薄茶の憂いを含んだ三白眼に見覚えがあった。
・・・王子だ・・・
心臓が止まりそうになった。