ひみつのナナくん
まだ桜が咲かない並木道をバス停めがけて、少し駆け足で駆け抜ける。
その先に、少しずつぼんやりと見覚えのある顔が手を振っているのが見えた。
スピードを上げてたどり着く。
「なつめ、おはよう!」
「おはよう、いっちゃん」
運動不足が祟ってか、少し走っただけなのに息が苦しくて、肩で息をする。
そんな私においでおいでと手招きしてベンチを少し開けてくれる。
「全然走らなくても間に合ったのにー」
「初日から遅れたらちょっと危ないかなあって…」
えへへと苦笑いする私にいっちゃんは少し呆れたように微笑む。