羊と虎
次の日、美優に話したい事があると会社終わりに近くのカフェに誘った。
会社から近く、コーヒーの種類が多せいか、人気が高く、客はいつも途切れなかった。
ジャズの流れる穏やかな店内で、向かい合わせに座った美優は緊張気味だった。
もしかしたら、本田の話ではないかと思っていたのかもしれない。
いきなり話し出すのは難しいと判断した杏奈は、飲み物を頼みつつ、何気ない話をする。
たわい無い話をしたお陰でて、美優の緊張が解れ、顔に笑みが浮かんできた。
『より、そろそろ本題に入ろうかな』
コーヒーを啜って、自分の気持ちも切り替えてから、ゆっくりと口を開く。
「今日呼んだ件なんだけど・・・」
本田とのやり取りの後、美優に本田さんの気持ちを伝えてみた。
話を聞いた直ぐは、困った顔をしていたが、段々と穏やかな顔になって行った事にホッとした。
「それでなんだけど、1度会って話して見たら?」