羊と虎

「え!?・・・でも・・・」

困惑気味の顔になる。

「1度腹を割って話してみたらどう?悪い人じゃないって私は思うんだよね。
一人で会うのが無理なら、私も立ち会うし」

ソワソワした雰囲気を察して、助け舟を出してみると、少し落ち着いた。

美優の性格上中々踏み切れない事はわかっているが、このまま先延ばしにすると、美優がまいってしまいかねない。

「案ずるより産むが易し」という諺(ことわざ)もあるのだから、ここは押してみたい。

「大丈夫かな・・。」

「話してみてダメならダメって私に言ってくれたら、本田さんに伝えるし、別に付き合えって言われてる訳じゃないし、美優ちゃんの好きな事を話すだけだから。
向こうが聞きたいって言ってるんだから、じゃんじゃん話せばいいと思うよ!」

「・・・うん。・・・分かった。会ってみる」

俯いたまま一生懸命考えて(少し流された感じもあるが)会うという返事を貰えた事に、凄く嬉しくなった。
< 101 / 320 >

この作品をシェア

pagetop