羊と虎

「じゃ、善は急げ!何時なら大丈夫?」

慌ててカバンからスケジュール帳を取り出し、日にちを確認しだす。

「え、あ、もう日にち決めるの?!」

杏奈の行動の早さに驚いて顔を上げ、更にワタワタと慌てふためいている。

「会社終わりの方がいい?土日はイベントが有るんだよね?
あ、それともいっそ、イベントに連れて行っちゃう?そうすれば、話さなくても大丈夫じゃない?」

ドンドン話が進んで行くのをオロオロと見ている美優だが、杏奈のスケジュール帳に、自分の話したイベントの日時が書き込んである事に驚いた。

「杏奈ちゃん、イベントの日書き込んでくれてるんだ」

「え?だってイベント後の美優ちゃんすっごい楽しそうなんだから、話聞きたいよ」

「うそ!?」

「ホンとホンと、今度一緒にイベントに行きたいなって思ってる」

「嬉しいなぁ。イベント会場ではフレさん居るんだけど、やっぱり身近な友達が興味持ってくれるって嬉しいね」

さっきまでの不安な顔が一瞬で消えて、楽しそうな顔になる。
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