羊と虎






「やっぱり、普通に会うよ」

デザートのパフェに手が付けられなかった美優が、やっとそう言ってパフェを食べだした。

「分かった!じゃぁいつにする?」

「えぇぇぇ。」

賑やかに食事をしつつ、何とか日取りを決める事が出来た。

『結構時間掛かったけど、何とかなって良かった』

駅で美優を見送って、ホッとため息を付いた。

18時30分から始めて、今が21時30分、3時間も居た事になる。

『こりゃ帰ってから走りに行くの邪魔くさいな』

時計を眺めてそう呟き、駅の改札で回れ右をして、駅を出た。

昼間の蒸し暑さが多少残っているが、通勤時間とズレたお陰で、人は疎らだ。

綺麗な夜空を見上げて、気合を入れる。

ヒールの有る靴だから、走る事は出来ないが、大またで足早に歩けば、運動になる。

駅から自宅まで歩いて帰る事を選択した杏奈は、颯爽と歩き出した。
< 104 / 320 >

この作品をシェア

pagetop