羊と虎
「やっぱり、普通に会うよ」
デザートのパフェに手が付けられなかった美優が、やっとそう言ってパフェを食べだした。
「分かった!じゃぁいつにする?」
「えぇぇぇ。」
賑やかに食事をしつつ、何とか日取りを決める事が出来た。
『結構時間掛かったけど、何とかなって良かった』
駅で美優を見送って、ホッとため息を付いた。
18時30分から始めて、今が21時30分、3時間も居た事になる。
『こりゃ帰ってから走りに行くの邪魔くさいな』
時計を眺めてそう呟き、駅の改札で回れ右をして、駅を出た。
昼間の蒸し暑さが多少残っているが、通勤時間とズレたお陰で、人は疎らだ。
綺麗な夜空を見上げて、気合を入れる。
ヒールの有る靴だから、走る事は出来ないが、大またで足早に歩けば、運動になる。
駅から自宅まで歩いて帰る事を選択した杏奈は、颯爽と歩き出した。