羊と虎
第五章
会議室で凱に食事に誘われてから2週間程たった土曜日。
天気は快晴で、外に立っているだけで汗ばむ陽気だ。
凱と会う時は可愛らしい、ふんわりとした雰囲気の服装にしていたが、少し距離が近づいた気がしたので、シンプルなスキニーパンツと、白地に裾の部分に紺のレースが使ってあるチュニックを着た。
サンダルは走ったりしやすいヒールが低い物を履いた。
今日は電車で移動したいと言うので、土地勘の余り無い、凱の家の最寄り駅に待ち合わせた。
最寄駅の改札を出て思ったが、タワーマンション何棟も自己主張するようにそびえ立っている。
高級住宅街も近くにあった事を思い出した。
この辺りに縁が無いので来たことは無かったが、雰囲気に緊張してしまう。